クラッシュ挿管

2021年5月7日 0 Comments

うちの病院では緊急手術をよく受けるため、胃の中に内容物が多く残ったまま、

手術をしなければならない時があるんです。

その場合、麻酔科医からは「クラッシュでお願いします」なんて言われることがあります。

施設によっては「ラピッド」なんて言い方をするところもあるかもしれないですね。

要するにフルストマック(胃の中に食残がいっぱいある)のため、

挿管の刺激などで、反射がおこして、食べ物を吐いたら、

誤嚥をして肺炎になってしまうかもしれない。

そこで、挿管の時に喉を押して、せきとめてくださいという具合なわけです。

そして、きわめて迅速に導入しますよーと。

しかし、これを指導しようとしたときに、以外に説明が難しい。

喉といっても具体的にはどのあたりなのか・・・。とか。

甲状軟骨ではなく、輪状軟骨をおしてねーといいます。

そして、力強く押すのではなく、適度な圧力で押すように指導する場合、

一般的には30Nと言われているんですが「はぁ???」となります。

厳密には3.05kgなのですが、約3kgと教えます。

では3kgをどうやって教えるかというと、手術室には出血量をカウントするための、

はかりが置いてあるので、それを実際に押してもらって3kgが表示される感覚を身につけて

もらいます。そうでもしないと3kgなんて感覚はわかりませんよね。

これは押しすぎると声門がつぶれて挿管が難しくなるので、やはり意識は3kgなのです。

そして、もうひとつ大事なことが、眠ってから突然、輪状軟骨を押そうとしても

わかりにくいことがあるため、起きている時に輪状軟骨の位置を触診で確認しておくことです。

そうすると眠った直後にピンポイントで押すことができますから。

あとカフは10mlでって教える人もいるんですが、これもやはり不適切な気がします。

挿管チューブが適正なサイズでなかった場合、10mlで足りないことが考えられるからですね。

カフがパンパンになるまでというのが正しいかと思います。

このパンパンは主観なので、どれくらいのパンパンかは実際にカフを膨らませたときに

教えてあげるのがいいのではないでしょうか。

 

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