乳児の神経因性膀胱による膀胱皮膚ろう造設術
今日は今後、オペ看をやっていても一生で会うか出会わないかの手術のお話です。
とても小さい乳児の子供が交通外傷で頚椎損傷をして、
自分で排尿ができない神経因性膀胱になったため膀胱皮膚ろうを作りにきた切ないお話です。
器械出しはというと、
乳児ということもあり皮膚がとってもうすくて、
メスで皮膚を切開したら、すぐに筋膜、腹膜と出てくるのですが、
これが本当に薄皮一枚という感じでした。
切開創も3~5cm程度しかあけないため、
そこから出てくる膀胱も腸管との区別がつけいにくい。
そこで長い注射針をつかって実際に穿刺して、おしっこが出ることを確認して同定しました。
もちろん、穿刺するまえに6Frの尿道バルーンを留置して、そこから膀胱注入して確認はしていますが。
膀胱だとわかったら、皮膚の高さまで持ち上がるまではがしていきます。
基本的には剥離剪刀ではがしていき、血が出るとアドソンせっしでつまんで止血の流れでした。
鉤は指鉤といわれる、小さい筋鉤を使い、開創器はウェイトラナー開創器。
そして、脳べらを自在鉤かわりに使用して行いました。
とにかく全てがミニマムなものばかりでした。
膀胱の前には尿膜管があり、それを処理することで膀胱がビローンという感じで伸びました。
とてもとてもよく伸びます。
アッペの時もそうなんですが、子供の組織はやわらかくて伸びやすいという特徴があります。
そして、十分な距離がとれるとわかったら、腹膜と膀胱を吸収糸で固定して(今回は4-0PDS○針)
針のサイズは22mmが近くにあったのでそれを使ってもらいましたが、
サイズ感からしたら17mmがあったらよかったなぁと少し反省しました。
そして、他の腸管ストマと違って、
膀胱皮膚ろうは膀胱をあけたら、その辺縁部を皮膚に16針くらい縫いつけるような手技でした。
要するに盛り上がりはなく、おなかにばっかり膀胱の口が開いているような感じですね。
膀胱からは膀胱結石がすでにたくさんできていて、仁丹みたいないっぱい出てきました。
仁丹わかるかなぁ。最近は売ってないですから。
手術は無事に終わりました。なんとも切ない手術でした。