停留精巣手術の繊細な配慮

2021年5月14日 0 Comments

子供の停留精巣の手術で精巣固定術の器械出しをする機会がありました。

あたらなければ1年くらいやらないし、

そもそもあまり大きな手術ではないため、あまり印象に残らないようです。

しかし、この鼠径部を理解することは実はいろいろな手術に応用できるので、

ちょっと触れていきたいと思います。

私の記憶が確かならば、鼠径部ヘルニアの手術は内ヘルニア、外ヘルニア、大腿ヘルニア

あるいは閉鎖孔ヘルニア、臍ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアなどにわかれるかと思います。

出る場所にってヘルニアの名前が異なるという認識かと思います。

ヘルニア手術は外科医の中でもヘルニア好きがいるくらい、奥が深いともいえます。

一般的には下腹壁動静脈を基準に内、外とわけていると思います。

この停留精巣手術はその鼠径輪の鼠径管の途中で睾丸が別の場所にくっついてとまってしまっている。

あるは恥骨などの靭帯などのくっついてしまっているというような感じですね。

それを剥がして、ポケットを作って、もとの陰のうの位置に戻してあげる。

そして再発しないよう糸で固定してあげようという手術です。

ただ、1歳くらいになってからやることが多いので、

色々と気遣うことは多いと思います。鼠径管の中の精管を出す手技にしても

あまりつまみすぎても組織をだめにしてしまうだろうし、

電メスでチチチっっと焼くにしても、出力が強すぎて火花がちって

やけどしたら精管の通り道が駄目になってしまうかもしれないし、繊細の手術かと思います。

やさしくやさしく手術する必要ありそうというわけです。

またポケット作って、戻してから固定するわけですが、

その時には陰のう部に小さい外切開をして、精巣を糸で固定するわけですが、

この糸は細いモノフィラメントの吸収糸を使いました。5-0PDSですね。

それを2針くらい固定したので、両端針のものを半切するとちょうど良かったですね。

外科医によってはプローリン使っているところもあるようですが、

非吸収糸なので、成長にあわせて糸がはじけたり、精巣の位置がへんな向きになったりしないのなぁと素朴な疑問はありました。

固定が終わったら、筋膜縫合をして皮下埋没縫合して終了となりました。

シンプルな手術ではあるんですが、乳児ということもあり、

やはり注意が必要だし繊細な手術だなぁと思いました。

そうそう鼠径部の手術はもちろん、精巣固定術だけではなくヘルニアかんとん、

鼠径ヘルニア手術など外科などでも行うことがあるし、

知っておいて損はないですよね。内、外、大腿、閉鎖など理解すると最適なメッシュはなにかなど

予想もつきますから、術野を見て理解できるまで外科医に聞けばいいんだと思いますよ。

結構みても難しい印象なので、是非とも質問して理解を深めて欲しいと思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です