房室ブロックと脚ブロックがある患者への脊椎麻酔手術

2021年12月27日 0 Comments

特に何か急変したというわけじゃないのですが、

重度の房室ブロックと脚ブロックがあり、脊椎麻酔ですらかけるのが怖いと思った患者さんの手術のお話です。

房室ブロックは房室結節の働きが悪くなり、心房の興奮が心室まで十分に伝わらない状態で、程度により1度~3度に分類されます。

・1度房室ブロック →伝導は悪いが心室には1:1で興奮は伝わっている

・2度房室ブロック →心室への興奮が時折途切れる

・完全房室ブロック →完全に途切れている

心電図などでみるとしたのようになるとされています。

Ⅱ度

 

Ⅲ度(完全)

というような波形となりまs。

今日の患者さんはⅡ度のブロックがある感じでした。

しかし、それだけでなく脚ブロックもあるのが怖いと思ったことです。

要するにいろいろな場所でブロックが起きる可能性があり、普段かも不安定ということです。

その患者さんに経尿道的膀胱腫瘍切除をしようというわけです。

前回の手術の時は術前でテンポラリーペーシングを入れたらしいですが、

その時には何事もなく安定していたので今回は準備だけでいいでしょうということになったわけです。

さて、そこで困るのが手術室では緊急時くらいしかいれないテンポラリーペーシングの準備です。

普段いれないので、いろいろな物がいろいろな場所に散在していて、それをかき集める作業となったわけです。

準備物品

DC本体(ペーシングできるもの)

簡易エコー本体

ゼオンペーシングカテーテル

ラジフォーカスイントロデューサー(シース)

体外式ペースメーカー (ST.JUDE社)

赤黒ケーブル(うちではワニグチケーブルと呼んでます)

皮膚の切開セット(メスなどが入っているもの)

となるわけです。結構なボリュームです。

それ以外に時間稼ぎとしてDCパットも準備して貼りました(1万円します)

集めるのも大変ですが、これをいざ使用としたときに細々としたものを数多く出さなければならないため、大変です。

DCパッドで刺激を与えることはできますが、この時に麻酔は下半身しかかかっていないわけで、きっとものすごい痛みが伴うだろうから、

鎮静剤も必要になるかもしれません。

「準備だけしておいて」と簡単に言われていたとしても、これはこれでひとつの手術だろうと思うくらいです。

一カ所にまとめておいてセット化する必要があるなぁと強く感じました。

結果的に患者さんには何事もおこらず、次回手術になっても

準備だけで大丈夫だろうということになりました。

この準備もう1回はしたくないなぁと思いました。

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