深頚部膿瘍手術時の一時的な経皮的気管チューブ
1ヶ月に1回くらいはきているような耳鼻科の深頚部膿瘍の切開排膿術。
手術自体はとてもシンプルなのですが、
手術室に長くいる経験上、こういう手術が一番難しいような気がします。
悪性腫瘍の手術などは「型」がある手術がおおく、
指導にもセオリーが存在するため、習得しやすいのだと思いますが、
こういう膿瘍がどこまでおよんでいるかが、人や経過時間によって異なる手術は
「型」がなく、より広い解剖の知識が必要な手術かと思います。
当院でも若手の先生が手術を受けるのですが、最後には必ず一番上の先生がきて、
対応しているよう思えます。
長らく、この手術はその上の先生の趣向のためか、状態が悪い人が多かったためか
切開、排膿術のあとに術後管理として外科的気管切開を行ってきたのですが、
新しい先生が来たことで、経皮的気管切開キットを使用して行いました。
使用したのが、下のキットです。
珍しかったのと、今後行う機会が増えそうなのでちょっと触れていきます。
今回、膿瘍の基点は扁桃炎からくるものでした。
麻酔法は全身麻酔ですが、選択したチューブはスパイラルチューブのハイボリュームカフ。
ただ、頚部手術ということでスパイラルを選択したのですが、
当院の場合、スパイラルチューブがハイボリュームカフしかなかったので、
これはどうかなぁと振り返りました。
というのは経皮的気管切開の場合、気管支鏡ガイド下かあるいはエコーガイド下で、
穿刺ガイドするのですが、もしエコーガイドを選択した場合、
チューブカフの描出までは難しいと思うので、ハイボリュームだとカフ損傷のリスクがあると思いました。
今回は気管支鏡ガイド下だったため、直接観察しながらだったため、問題とはなりませんでした。
穿刺位置は通常の気管切開位置と一緒で、甲状腺の下の輪状軟骨間でした。
ガイド下で穿刺し、そのごガイドワイヤー挿入。ワイヤー越しのバッファローマンの角のようなもの
(で伝わらないかもしれないですね。)
でダイレーションして、サクションエイドに挿入替しました。
とても短時間で終了し、出血もすくなかった印象でした。
問題としては、気管口形成されていないので、抜けた場合再挿入が困難ということがあり、
付属のダイレーションキットは洗浄してお持ち帰りとなりました。
一時的なものなので、抜けないようにだけ管理できれば、この方法が最善なのかもしれませんね。
なんにせよ、術場看護師としては手術時間が少しでも短く終えることはミッションだと思っているので、そういうことについては積極的に協力していきたいなぁと思いました。