脳外科)開頭内減圧術の器械出し

2021年6月1日 0 Comments

今日は脳外科の器械出しのお話です。

自宅で倒れているところを発見され、緊急搬送。

CTの結果、脳が腫れあがって、ヘルニアになっているので、

緊急で内減圧術をすることになりました。

手術室に入室したときには自発呼吸はあるけれどもレベルはJCS300.

瞳孔も開いてきていることのことでとにかく急いで準備をすすめました。

さて、脳外科の器械台の準備をするのですが、

この脳外科の器械出し準備はいろいろとやることがあって、苦手としていることが多いようです。

ドリルのセッティング、止血材料の準備などなど。

細かい準備が多く、全て準備を終えようと思うと20分から30分くらいかかってしまいます。

しかし、患者はすぐにあがってきてしまう。脳外科医も急ぐ。

ということで遣うもの順に準備をしていかなくてはならない。

昔から、緊急手術で準備するときに言われている文句として

「メス刃を先につけて、そしてセッシ、ガーゼ、鉤(こう)電メスだけ準備しろ」でした。

皮膚を切開するものがあれば、とりあえず時間を稼げるからという考え方でした。

脳外科も例に漏れず、その流れで間違えではありません。

ただ、頭はやはり大事な脳だけであった、何層にも守られています。

なので、レイヤー(層や膜)をおさえて考えれば冷静に術中も準備をすすめれます。

頭の場合は

頭髪、頭皮(頭髪はクリッパーで処理しますね)

頭皮→No.21メス、No.15メス、ガーゼ、バイポーラ、頭皮フック

頭皮の辺縁止血には→頭皮クリップもしくはボスミンガーゼ

筋層→電気メス、ラスパトリウム

頭蓋骨骨膜→ラスパ

頭蓋骨バルホール作成→マーカーペン、開頭用ドリル(パーフォレーター)えいひ、お水

バルホール下硬膜→No.3剥離子、フレキシブルディセクター(びょんびょん)、ボンワックス

頭蓋骨→骨切りバー、ラスパ、洗浄用水、ベムシーツ、ゼルフォームやフロシール

硬膜→硬膜フック、NO.15メス、剥離せん、輪ゴム付硬膜針

テリオン処置→リュウエル、ボーンワックス、サージセルコットン

脳実質くも膜→上山せんとう バイポーラ、ゼルフォーム

という感じになります。やはりお腹が皮膚、筋層、腹膜という流れなどから考えると

レイヤーが多いことがわかります。

しかし、このレイヤーをひとつひとつイメージできていないと

上のような細々とした器械が、器械台に全て並んで、ごちゃごちゃになってしまうのです。

若手でイメージが不十分だと最初から剥離子があったりするので、すぐにわかります。

わかっているひとだとレイヤーごとに器械が片付けられるので、

すごいすっきりとした器械台になります。

なので、指導する時もここのレイヤーをとことん問い詰めて理解を深めてもらっています。

止血剤の出番は手順のとおり、頭蓋骨がはずれる前後ですから、

手術の最初からはあまり必要としません。

始まってから合間をみて、止血剤の準備もすすめることができるのであれば、エキスパートといえるかもしれませんね。

たた、一旦、手術がはじまれば忙しいので、事前に準備しておくこしたことはないのですが、

手順のなかで考えてやれたらいいなぁというお話でした。

 

 

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