腎癌のリンパ節郭清の範囲

2021年5月6日 2 Comments

腎癌の場合、古い文献などを読むとリンパ節郭清は腎門部や腎動脈、腎静脈などにより番号で表記して郭清しているなんてものもありました。

それで最近ではどのくらい郭清するんですかー?って聞いてみたところ、

腎癌は基本的には郭清はなく、腎摘したら終了だとか。

外科だと1群やら3群やらいろいろとあるのですがウロではあまり聞きません。

でもリンパ節が腫れている場合は腫れているリンパ節をとることが必要だとか。

今回は腫れているリンパ節を全部とったら、結構広範囲な郭清となりました。

手術の流れを簡単に説明すると

今日は経腹の山型切開でアプローチしました。

開創器は古くから使用されるオムニレトラクターを使用。

十二指腸をよけるとすぐに、下大静脈がでてくるのでそれによって腎門部リンパ節を

シーリングデバイス(リガシュア)にてとっていきます。

その後、今日は右の腎臓だったので、精腺静脈をテーピングして周囲リンパ節切除。

その後、腎静脈をテーピングして、腎動脈を結紮。腎静脈処理して腎摘。

その後、腫れている腎門部リンパ節を摘出し、

本日一番大変だった、副腎と肝臓の一部を合併切除。

経腹アプローチの場合、副腎は本当に術野が深くて深くて、すっぽり手が入るくらい。

背骨にも触ることができることを考えるとあとは

背中の筋肉と皮膚しかのこってないくらいの深さです。

そんな深さなので、後ろの方はブラインドでとるわけです。

そんな感じの手術でしかも副腎は流入動脈が複雑なので、血もよく出るわけです。

複雑というのは副腎は腎動脈からの血流、腹部大動脈からの血流、そして横隔膜下動脈からの血流。

いっぱい枝があるので、それをしばったり、シーリングしたり。

血を出しながらやっていきます。加えて、今日は肝臓も一部切り取ったので、

合計で1000ml以上の出血でした。

リンパ節もガチガチで大変そうでした。それでも予定より早く終わり終了。

最近は腹腔鏡がメインであまり血が出ない手術が多いので、

やはり開腹はとても血がでるなぁと緊張感がある手術でした。

これからは経腹でもロボットでやる日がくるのかもしれませんね。

 

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