術中の致命的な出血量は?
手術室にて避けては通れないイベントとして出血があげられます。
ところが、若い子たちにどのくらい出血をしたら致命的になるのか聞いても
いまいちパッとした返答を得られないことが多いです。
致命的な出血を知るためにはまず、体液量をしらないといけないわけです。
では体液量はというとそれこそ年齢や性別によっても考え方がかわるわけで、
そこまでは求めないにしても、やはり「体重の60%」ということは知っておいてもらいたいわけです。
では成人男性と考えて、体液量が60%とすると、
60kgであれば、36リットルとなるわけです。
そこから細胞内液と細胞外液に分けられるのですが、
細胞外液は間質液と血漿にわけられて、ようやく循環血液量までたどりつくわけです。
要するに3000mlくらいの循環血液量が流れているとイメージできるわけです。
では、致命的な出血とはどういう状態かというと
全血液量の約20%以上が短時間で失われると出血性ショックとなり、
さらに30%以上の出血で生命の危険があるといわれます。
この短時間というのははっきりとはしていないのですが、
例えば1分で900mlの出血とかだと、大きな血管の損傷でおそらく、その段階で心静止までいっているかと思います。
手術中だと、そこまでのことはないにしても、
ちょっとメジャーな静脈を傷つけてしまったとかで1分で50ml~100mlというのは割と経験があると思います。
いずにしても考え方は知っておかないと出血量のカウントの意味がないので、
10分で1000ml出血するくらいの出血があった場合、
これはまずいと思わないといけないわけです。
ただ、術中は麻酔科の医師がいますし、基本的には輸液療法をしているので、
1000mlくらいの出血ではまず致命的になることはないのですが、
この出血量は輸血が必要と考える基準にはなると思います。
応援を呼ぶにしても、だれかに輸血のオーダーをしてもらわないといけないので、
お願いする基準にもなると思います。
これは成人男性の場合なので、
子どもは、血液量が体重の約19分の1と少なく、少ない出血量でもショックを起こします。
新生児では30mLの出血でも命にかかわることがあります。
なので、子供の麻酔はとてもストレスがかかることが多いですね。