手術室でみる血液ガスデータが混乱するわけ
先日、手術終わりにちょっと質問があると呼び止められました。
どうやら、病院のラダー試験で血液ガスの解釈があるらしく、
その解釈がただしいか教えてほしいというのです。
見せてもらった血液ガス分析の結果としては
Ph 7.28
PCO2 30mmhg
PO2 180mmhg
anionGAP 18
BS 200
Lac 20
HCO3 -20
BE -4.5
とうような数値だったと思います。ちょっと違うかもしれませんが。
実際に外科の開腹術中のデータのようです。
代謝性アシドーシスであることは理解しているようですが、うまく説明できないと。
このデータを見たときに、糖尿病があるのではないか?と聞いたら、あると。
手術のストレスでも血糖値はあがりますが、ちょっと高いかなぁと。
手術中のデータということなので、人工呼吸器管理されていることを考えると、
呼吸データは代償としては関係性が低い。
糖尿病を背景として、手術のストレスによるケトアシドーシス、乳酸アシドーシスではないかと。
代償として、重炭酸緩衝系によるPh調整をしようとしている状況ではないかと。
手術室にてよく、イメージ違いしてしまうのが、
呼吸代償はしないのか?ということなのですが、
なんせ全身麻酔で挿管されていて、人工呼吸器管理されていると呼吸代償はないかと思います。
勉強会などでみるのはあくまでも外傷が運ばれてきたとか、そういう類の時かなぁと思います。
anionGAPも上がっているし、代謝性アシドーシス解釈でいいかと思いました。
麻酔科のほうではインスリンの投与や重炭酸リンゲルなどの使用でよくなると考えるかもしれませんが、
だいたいは酢酸リンゲルのままだし、重炭酸を補充するのはあまりよほどの時くらいかなぁと思います。
看護師としてはすこでも循環をよくするために低体温にしないとか、そんなところに気を配っていました。
あとは手術をすこしでも早く終わらせて、ストレスを軽減するに努めるか。
いずれにしても、Phに影響与えるくらいの大きな手術(例えば、肝臓切除など)なわけですから、
抜管しないこともありますし、手術を終えたときのデータが正常になっていれば問題はないのだと思います。
手術室では血液ガスデータをよく取りますが、勉強会の例題とかは実は
救急の場面を想定していたりするんですよね。
混乱してしまうのも無理ないかなぁと。