器械出しから見るカニュレーションの手順
私は昔から開心術の器械出しが好きじゃありません。
配属当初1ヶ月で無理やり開心術の器械出しをやった経験もあってか、
苦手意識がとにかくあって、今でもできることなら入りたくない手術のひとつです
この苦手意識はやはりカニュレーション手技が煩雑ということがあるだろうと思います。
一見解剖がとてもわかりやすい心臓でも
狭い距離感で管がとにかく沢山入る。どこをどういう風に切って、入れているのか
まったくわからない時期が長かったです。
あと開心術の器械出しでは針糸の数がとにかく多いので、この処理速度が遅いと
術野をみることができなくなり、
言われたことをこなすので精一杯の状態になってします。
昔から反射神経(運動神経)がいい人は得意な手術といわれています。
とはいえ、みんながみんな運動神経がいいわけではないので、
少しの術野観察でも理解でき、次の手順につなげれる知識が必要かと思います。
ということでカニュレーションの要点を2つおさえていきたいと思います。
まず、1つ目にカニューレの分類についてです。
①ポンプとしてのカニューレ
送血管、脱血管(1本ないし2本だが、基本的には2本)
②心筋保護としてのカニューレ(ルートベント)
大動脈(冠動脈)の順向性に入れるアンテ針
右房(冠静脈洞)から逆行性に入れるレトロプレジャー
③血液の回収ポンプとしてのカニューレ
右肺静脈から左房を経由して、左室まで入れる左房ベントカニューレ
どこにでも挿入できるドボンチューブ(サクションカテーテル)
左房ベントはルートベントの心筋保護液の回収もあるのでルートベントのカテゴリにも入りますが・・・・。
という3つの機能別に説明をするようにしています。
少し理解が深まるかと。
2つめに実際の手順について
糸かけは医師によって異なるかもしれませんが、
基本的には
大動脈から送血とアンテ(太くて伸縮性のある糸2-0エチボンド)
上大静脈脱血(4-0プローリンSH)
駆血用のタニケット追加の場合あり
下大静脈脱血(4-0プローリンSH)
駆血用のタニケット追加の場合あり
右房 レトロ(4-0プリーロンSH)
右肺静脈(左房ベント)(4-0プローリンSH)
回路別と糸かけの手順別で理解をしてもらえば、多少は苦手意識がなくなるかなぁと思い、教えています。
とはいえ、器械出しのスピードばかりは反射神経によるところが大きいので、
やはり、得意な人と苦手な人に分れてしまいますが、
苦手な人は基本的な針糸の処理を覚えたら、
せめて理詰めで覚えていくといいのではないかなぁと思います。
あとコミュニケーション必要ですね。とても。うまくいかないと声が出なくなりますが、
そこはがんばってコミュニケーションをとっていきましょう。
特にウィーニング時の追加針はなにをどのくらい使うか、確認をとる必要があるので、
コミュニケーション必須です。