冠動脈の番号と略語の覚え方
20年くらい前までは毎日のようにCABG手術があったのですが、
最近はCAGの進歩からから、CABG手術はめっきり少なくなったような気がします。
来るとしたらカテができないくらい重症な方が多いと思います。
とはいえ、たまーにきて困るのが冠動脈をつなぐ場所はどこなのか?ということです。
しばらく入らなくなるとわからなくなるのでここでおさらいをしようと思います。
インターネットで色々なHPをみていると
やはり、右と左をそれぞれバラバラにして理解からした方が良いとの結論になりました。
RCA(右冠動脈) #1~#4
LCA(左冠動脈) #5~#15
LCAはLAD(左前下行枝)とLCX(左回旋枝)に分れて、
LAD #6~#10
LCX #11~#15
となります。
ただ、実際の手術室では番号で記録に残すというよりは場所で記録に残すことが多いのです。
今日の手術の場合だと
LITA‐OM-PL
SVG-AV-4PD
RITA-LAD の3枝病変に対して5枝吻合となりました。
番号ではなく、場所になるので、さらにごちゃごちゃとしてしまうし、忘れてしまうわけです。
LITA(左内胸動脈)を
OM(鈍縁枝)=#11
PL(後側壁枝)=#14
にシーケンシャルして繋ぐという意味あいですね。
SVG(大伏在静脈)を
AV(房室結節)=#4
4PD(後下行枝)=#4
にシーケンシャルして繋ぐという意味あいですね。
RITA(右内胸動脈)を
LAD(左前下行枝)=#8に繋ぐという意味です。
LADは全体的に意味合いで実際には抹消側でD2あたりに繋いでました。
#1:RCA(右冠動脈)の付け根〜RVB(右室枝)
#2:RVB(右室枝)〜AM(鋭縁枝)
#3:AM(鋭縁枝)〜PD(後下行枝)
#4:AV(房室結節枝)、PD(後下行枝)
#5:LMT(左主幹部)
#6:LMT(左主幹部)〜1本目のSB(中隔枝)
#7:1本目のSB(中隔枝)〜D2(第2対角枝)
#8:D2(第2対角枝)〜LAD(左前下行枝)の末梢
#9:D1(第1対角枝)
#10:D2(第2対角枝)
#11:LMT(左主幹部)〜OM(鈍角枝)
#12:OM(鈍角枝)
#13:OM(鈍角枝)〜PL(後側壁枝)
#14:PL(後側壁枝)
#15:PD(後下行枝)
で対応できるかと思います。
この略語のPとかDですが、実は他の科でも共通して使っていて覚えておくと便利です。
P Posterior 後側 D Descending 下側 L Lateral 側方の
あなみにA Anterior 前側 S superior 上側ですね。 腹部のリンパ節で8aとか8pとかありますが、
これは8番(総肝動脈リンパ節)のa Anterior 前の方なんて意味になっています。
ASPDA(ASPDV)などはながくて辛いのですが、
Anterior superior pancreatico-duodenal artery(vein)
前上膵十二指腸動脈(静脈)なんてぐあいでほとんど、向きと解剖用語の組み合わせとなっています。
結局のところ、英単語を覚えることが総ての解剖につながっていくわけで、
ここは避けて通れないところかと思います。
ただ、覚えてしまえばどの科でもつかえる共通言語なので、そこだけはしっかりと
押さえていくと良いと思いますよ。