不慣れな経鼻ファイバー挿管とマックグラス挿管
深頚部膿瘍や咽頭部膿瘍で切開排膿ドレナージ術を行いたい時、
どうやって気道確保をするか悩んでいる麻酔科がよく見ます。
手段として挙げられるのが意識下による経鼻ファイバー挿管です。
イメージは以下のとおりです。
しかし、外回りとしてみてきた経験上、この手の疾患でこの挿管がうまくいったのを見たことがありません。
若い麻酔科医の先生が多いということもあるのでしょうが、
挿管にいく前に心が折れてしまっているような印象を受けます。
開口制限や後屈制限などがあり、経口による挿管が難しいと判断した場合に、
選択されるのですが、経鼻ファイバーというよりは、意識下の苦痛のコントロールに問題があるように感じます。
キシロカインポンプスプレーやファイバー側管から4%キシロカインを投与するのですが、
その前にトラマゾリンを忘れたりすると、ファイバーをつっこんだあとにうまく入らず、
抜いたら鼻血が出てとまらくなったなど経験があります。
また、咽頭炎などの場合は口の分泌物が多量にあるのと、声門近くが腫れているため、
オリエンテーションがつかず、口や鼻からサクションをしてもなかなかわかりにくい。
外回り的にも経口的にサクションを援護したり、顔をささえたりするのですが、
それでもうまく誘導できない。
加えて、患者さんは意識下であるため、喉頭近くまでいくとがいそう反射がでて、
ファイバー先端が汚れたり、ファイバーそのものが逃げたりしてどうにもうまくいきません。
何度も出し入れしているうちに鼻からチューブを押し込まれる苦痛で患者さんの体動が制御もできなくなる。
鼻血もひどくなっていく。さらに条件が悪くなっていく。
とにかくトラウマになるんじゃないかと思うくらい苦痛を伴うのです。
外回りが挿管をするわけじゃないので、強くは言えないのですが、
まずは一番自信のある挿管技術を試せるか検討するのが良いのではないかと思っていました。
最近だとマックグラスの信頼度が高いので、マックグラスによる挿管が慣れていて安全かと感じます。
今回の場合は口が痛くて開かないという前情報が脳裏にやきついていたため、
経鼻ファイバーに思考が傾倒しているのではないかと思いました。
結果としてうまくいかず、後手後手となった印象がありました。
まずは自発がなくならないレベルでの十分な鎮痛(フェンタニル)をして、
痛みを取り除いてあげて、そのうえで口を開いてもらって表面麻酔をする。
その後マックグラスでの挿管して、麻酔の迅速導入するが正解だった気がします。
しいて工夫するならば、チューブをパーカーチューブにするなどのすればよりよかったかもしれません。
チューブ先端がソフトに尖っているので、挿入のしやすいの特徴です。
腫れていて狭い場所だったので、パーカーチューブによる経口なら患者さんも苦痛がなくて、
入った可能性あります。まぁ結果論なんですが・・・。
外回りとしては患者の苦痛は最小限にしたいし、またトラウマになりそうなことはしたくないわけです。
それを治療のためと割り切ってしまったら看護としての存在が意義がなくなると思うので、
次同じような機会があれば、先に提案していこうと心に強く思いました。