白内障手術を教えるときのポイント
眼科の手術では基本中の基本である白内障の手術ですが、
マイクロを見ている時以外で眼球の立体構造を教えようと思っても、
なかなかうまく説明ができません。
私の病院の器械出し用のマニュアルは特に文章主体となっていてわかりにくいのです。
長い間、この文章による教材で教えていたので、
それがいまだに抜け出せずにいるのです。
でもって、今日術野で指導しようと思ったのですが、
なんせ、テレビ画面に映っているのは2次元でなかなか立体視を説明しても伝わりません。
手術が終わって、専門書を用いて説明することでようやくうまく伝えることができました。
でもって、表題のとおりですが。
白内障の指導のポイントは以下に列記していきたいと思います。
①ドレーピングと開瞼器
②強膜・角膜切開。サイドポート作成
③眼粘弾物質の注入(ヒアルロン酸)
④連続円形切嚢(cotinuous curvilinear capsulorrhexis)
⑤ハイドロダイセクション
⑥水晶体核を分割し、超音波破砕ー吸引
⑦皮質除去
⑧粘弾性物質を注入し、IOL挿入
⑨粘弾物質除去とBSSによる眼圧調整と創閉鎖
となるわけです。
手術の肝となるのは④と⑥なのですが、
特に序盤はCCC
連続的な曲線の切嚢と和訳される部分です。要するに連続円形切嚢
ここで使用するのが医師によってかなり異なっていて、
25Gの注射針を自作する医師もいれば、27Gを使う人もいる。
あるいは池田式カプセルせっしを使ったり、稲村式カプセルせっしをつかったりと。
色々とバリエーションがあるわけです。
池田式カプセルせっし
稲村式
これらのチストトームを用いてCCCするわけです。
セッシでつまんでCCCしている場面
前嚢膜を切嚢したら、次はハイドロダイセクションなのですが、
これも説明が難しいのです。
水晶体核と嚢の分離といえるのですが、そもそも1年生とかだと、
その核と皮質と嚢がよくわからないというのです。
なので水晶体を層構造を説明するところからはじまるわけです。
断面図だとわかりやすいようです。
こうして浮かせた水晶体核を超音波乳化させるわけです。
⑥の場面ですが、ここで教えるポイントは白内障の第2の山場ということです。
術者はこの場面では核分割していくわけですが、この時のチップの先端で
後嚢をやぶらないように注意を払っているわけです。
術者が声をあらげるのもこの部分かと思います。
そうしてうまく皮質除去できれば、晴れてIOLとなるわけです。
レンズは水晶体嚢の中においてくるというイメージです。チン小帯に固定するというイメージでしょうか。
あとは閉創の流れとなります。
水晶体の立体構造を断面図を用いて説明することで理解が深められるというのが、
指導のポイントと思っています。