ラパ腎でEPIが効いてないとわかった瞬間

2021年11月17日 0 Comments

今日は出張医の麻酔科と手術をしたのですが、正直ストレスを感じていました。

私の働く病院では毎日のように出張の先生が来ます。

毎日のように来るので、曜日によって決まった先生が来ることが多いのです。

ところが今日は見慣れない出張の先生でした。

見慣れないときは大体、大学からの派遣麻酔科医で若手だったりします。

今日は器械出しだったので、最初の挿管までと麻酔終了してから退室の関わっただけだったのです。

若い後輩が外回りだったわけですが、出張の麻酔科医の先生が開口一番

「ひとりでやれるので他のことをやっていていいですと」というのです。

まぁ、ベテラン先生で出張をメインにやっている先生なんかは、

施設ごとに指示も違うので、自分のことは自分でやったほうが早いという場合もあります。

だから、今回の先生も若手ながら自信があるんだなぁくらいに思っていました。

ところが、いざはじめてみるとどうにも手技というか場の雰囲気があまり良くない。

マッキントッシュを使用していたのですが、実際には声門があまり観察できていないような印象受けました。

ちなみにマッキントッシュはよく使う喉頭鏡ですね。

最近はマックグラスと半分、半分んくらいになりました。

そして、実際に挿管して換気してみると、食道挿管なわけです。

しかも使用しているのが、ロボットアシスト前立腺全摘(RARP)だったのですが、なぜかスパイラルチューブなわけです。

スパイラルチューブが悪いわけじゃないのですが、あまり必要ないわけです。

頭頚部の手術でもないし、マッキントッシュを使っているので、

他のことをやっていてくださいというわりには手技がお粗末なわけです。

これは放っておくこともできないと思い、すぐに挿管介助に入り、

カフチェックや口角ひき、喉押しなどをアシストしました。

まぁ、さすがに入ってその後は手術はふつうに開始となりました。

手術終わって、抜管のときはなんと、カフを抜かないで抜管してしまいました。

カフ注を使ったが、接続ができずぬけなかったのか…。あるいは抜き忘れたのかわかりませんでしたが。

しかも、そのことを回りの誰に報告することない。

これは結構、ずっと見てないと危ないなぁと感じたわけです。

そして、次の手術のときにまたひとつイベントが起きたのですが。

それがタイトルのとおりです。

ラパ腎だったのですが、腎動脈にクリップを1発かけたときにバッキング起きたのです。

すぐにバッキング起きたので、麻酔科に声かけして鎮痛と鎮静を深くしてもらって対応したのですが、

話を聞くと20分前に筋弛緩剤を投与したばかりだというのです。

とはいえ、患者の体形もみるとあきらかに100kgくらいあるわけです。

容量にもよると思いますが、量が少なければ動く可能性もあるでしょうが…。

TOFウォッチも万能ではないので、ちょっと考えたのが、動脈をしばった痛みでバッキングしたのではないかということです。

つまりタイトルのとおりEPIが効いてない可能性です。

浅い筋弛緩のときに、痛み刺激でバッキングが生じたということです。

しかし、外回りに話を聞くと、EPIはスムーズだったというのです。

ところが、手術が終わって退室しようとした時にエピインフューザーのコネクターから薬液が染み出ていていると。

術中から使用していたのインフューザー薬液が患者に十分に投与されていなかっということです。

あぁ、なるほどそれでバッキングかとなるわけです。予想は当たっていたなとなるわけです。

若い後輩たちは先生に言われると、そのとおりにしてしまいますが、

初動をみて怪しいなと思ったときはやはり最後までマークしないとダメですね。

このあたりのことができるためには長い経験が必要なのですが。

 

 

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