眼科手術)ビトレクトミーができる眼科医とその世界観
本当につい最近まで知らなかったことなのですが・・・。
私は新卒で入職してからずっと同じ病院で働いています。
それなので、眼科の医師のほとんどがビトレクトミー手術をできるものと思っていました。
しかし、話を聞くとビトレクトミー手術ができるのは全体の10%にも満たないのだとか。
白内障(PHACO+IOL)は8割くらいできるのに対して同じマイクロ手術でもそこまで難しいのかと。
確かに当院も眼科医は10人くらいいるけど、実際に執刀するのは2人。
矛盾はしていないかもと。
町のお医者さんはもちろんやらないだろうし、やっても白内障手術くらい。
そもそもリスクばかりある手術なので、あまりやり手がいないのだとか。
かくいう私は器械出しや外回りとしてよくビトレクトミー手術に入るのですが、
この硝子体手術はとても面白い。なによりもマイクロごしに術野を見たときに、
目の中がとても美しいと感じるからです。
視神経乳頭はなぜあんなに光を反射するだろうとか。
網膜手術でたとえば境界膜をBBG(ブリリアントブルージー)などで染色すると綺麗な青色に染まります。
それをマイクロ下で、とても繊細なタッチで膜をはがし、すくいあげて膜をとるわけですが。
このタッチ、ベテランの医師はいとも簡単にやっているように見えるのですが、
若手が試しにやってみると少し触れただけで出血してします。
あっという間に真っ赤になってしまいます。
それくらいとても経験が必要だし、集中力と神経を研ぎ澄ませるわけです。
執刀中、眼科医が感情的になる場面がありますが、(というか、いつも怒っている)
それは術者にしかわからない、特有の緊張感の中で神経を擦り減らしているわけです。
器械出しや外回りはその気持ちに寄り添ってあげると、
とても術者はストレスが軽減され、信頼関係が築ける一歩となると思います。
ですから、もしビトレクトミーをやっている医師で働いている病院の看護師の方で、
眼科医はいつも感情的に怒っているなぁ、手術に入るの嫌だなぁと思うことがあったら、
まず、その緊張ある世界観を理解してみようと思うところから始めてみてください。
そうしたら、器械出しも外回りも共同して手術をやっている感覚になり、
手術中も術野が信頼を寄せて、穏やかになってくれると思いますよ。