皮膚

形成外科手術 基本お作法

手術部屋のセッティング   
局所麻酔症例の心得
・局所麻酔手術の急変時初期判断や対応は看護師に担われることが多く、 麻酔科管理に比べ’恐怖を感じやすい’手術である。
麻酔器を含め急変時にも対応できる部屋で行うことが望ましい。

・手術部位に合わせて必要時入室前にベッドの向きを回転させておく  
手術ベッドの方向や配置の検討

・手術部位側(手術器械台展開側の面積)が広くなるよう、
必要時手術ベッドの方向や配置を調整する。

・局所麻酔症例時には、患者入室前までに手術室内のセッティングを行う。

・全身麻酔症例時には
全身麻酔導入後に手術部位に合わせてセッティングを行うならば、
患者の転落や誤抜去に留意し、手術ベッドの位置調整をする。
もしくは、予め手術ベッドを手術部位に合わせてセッティングをした上で
患者を入室させ、全身麻酔導入後に麻酔機の位置を移動させる。
※いずれにせよ、予測されるアクシデントを念頭に置きつつ、
各施設の手術室内の広さ等と合わせて検討しなければならない。

・形成外科用のカートなどがある場合は部屋に入れておく 
手術時に使用が予測される物品の準備
・手術用手台や必要物品が備えてあるカートもしくは衛生材料を手術部屋に入れる。

・低反発枕や膝枕を準備し、患者や体位に合わせて使用する。

除圧枕の検討
麻酔方法や手術操作に伴う体位、患者の身体可動域制限に合わせ、必要時除圧枕を挿入する。
(例)
・顔面部の手術の際には、頭部が固定されて安定するよう、後頭部にドーナツ型アクションパッド素材の枕を使用する。
・仰臥位で長時間を要する手術の場合は、腓骨神経麻痺を考慮して膝下に枕を挿入する。
・腹臥位の場合には、前胸部の下、前脛部の下に枕を挿入する。
・側臥位や半側臥位の場合には、抱き枕を抱えてもらう。(局所麻酔症例)
若杉手台や側臥位用固定具、下肢の間に挿入する枕を使用する。(全身麻酔症例)
・患者の拘縮に合わせた枕を挿入する。
など、医師にとって手術がしやすく、かつ、患者にとって安全で安楽になるよう手術体位を調整する必要がある。

器械出しの準備

手術準備
器械台に出す薬液の検討
・手術部位が顔面部の場合の消毒は、0.02%グルコジンW水等の顔面に使用可能な消毒液を使用する。
局所麻酔症例時に使用する消毒液や生理食塩水は加温されているものを使用する。
・手術部位が顔面部以外の場合は、イソジン消毒液を使用する。
・使用する局所麻酔薬を確認しておく。(ほとんど1%Eキシロカイン)
・局所麻酔薬

必要物品の準備
・ピオクタニンブルーは指示があったときに出す。
・マーキング物品:必要時、マーキング可能なピオクタニンブルーやサージカルペンを使用する。
・ドレープ:丸穴小、丸穴大、顔面用オイフ、ハーフシートが準備に集まっている。
手術部位に合わせた各施設で採用しているドレープを使用する。Drに適宜確認し配盤上に出す。
・形成バイポーラ(短×2、長×2)あるので、Drに確認し配盤上に出す。
・基本器械類を準備する。

基本使用器械
・マッカンドウ無鉤(助手用) ・マッカンドウ有鉤 アドソン有鉤 細部摂子有鉤(術野の大きさに合わせて)
・スキンフック  ・2爪こう(鋭) ・剥離剪  ・眼剪刀(曲)
手術前
・局所麻酔時は滅菌手袋のみ着用。
・全身麻酔時は手洗いをしてガウン・手袋を着用する。※鼻骨骨折時はガウンはいらない
・術者にキカイを渡しやすいように、配盤と共になるべく右側に立つ。

手術開始
・ピオクタニン+爪楊枝にてマーキング(消しゴムとしてちぎった綿球をハイポにつけて使用することがある。)
手を洗う前にペンでマーキングすることもあるのでピオクタニンはDr.の指示があった場合にのみ出す。

ワンポイントアドバイス
局所麻酔の効果を確認する
意識下で手術の場合、セッシ等で手術野をつまんだりすることで局所麻酔の効果を確認する。
器械出し看護師は、適宜使用する局所麻酔の使用量を、正確に執刀医や外回り看護師に報告する。
外回り看護師は、患者の出血量やバイタルサインの変化、体調変化、局所麻酔中毒等に留意し、
患者の”変化”をいち早く察知し、執刀医に報告、判断を仰ぎ、迅速に対応していく。

顔面部(眼や眼周囲以外)の手術時の配慮
無影灯の光が顔面に当たる際には、ガーゼ等を眼の上に置き目隠しをする。

閉創時
・閉創時、持針器の糸を拭うため、濡れたたみガーゼを術野の近くに置く
・軟膏使用時、メス刃のついていないメス柄(後ろ側)を使用して塗布する。

検体
・摘出した検体をホルマリンで保存する場合、ホルマリンに漬けた時刻を検体ラベルと病理伝票に記載