REdo AVR 器械出しの心構え
今日はとても長い手術になるだろうなぁ。
そんな思いでいました。午前中までは。
朝、手術室に着くと、すでに夜間緊急手術をやっていました。
その手術を夜勤者から引継ぎ、今日予定手術が入室したのが午前10時30分ごろ。
しかも予定手術がREdo AVRでした。2008年に一度AVRをしていて、その後
逆流症状が出たため、再置換術となります。
REdoはとにかく心臓周囲の癒着が強固なことが多く、
通常の心肺を回すまでにとても時間を要するため、今日はまぁ終わらないだろうとあきらめていました。
しかし、実際にふたをあけてみると、癒着は1時間ほどで剥がすことができて、
置換術も1時間20分程度で終了。
なんと、定時までに終了することができました。
とはいえ、REdoはとてもリスクを伴う手術で、とにかく癒着剥離時になにがおこるかわからない。
不足の出血もあるかもしれない。
心臓に傷がつくかもしれない。
重篤な不整脈が起こるかもしれない。
なんて考えならが器械出しをすうわけです。
ということで、手術と同時進行で右大腿動静脈に4Fr(赤)とか5Fr(グレー)とかのシースを入れておくのです。
そうすることで、なにかあった場合、最悪大腿動静脈からのPCPSを回すことができるからです。
この同時進行というのが心臓外科手術の特徴かと思います。
器械出しは1人なのに術者は2人となるわけです。執刀医はもちろん開心側なのですが、
血が出るとわかっている、シース挿入ですから、この時は大腿のほうに少し集中をしておかないといけません。
もちろん術野にも器械出す。
まぁ忙しいわけです。同時処理能力が必要なため、苦手な人も多いかもしれませんね。
どちらを優先すべきかを考えて、器械を出すことが必要です。
なので、開心側が癒着を電メスでゆっくり剥がしていたので、
大腿側のほうに意識を傾け、穿刺、ガイドワイヤー挿入、ダイレーション、シース挿入までは短時間で終わらせ器械出しをしました。
実はカニュレーションというよりは、IVHの挿入などに近い感覚なので、
この手技は実は、IVH介助を経験すれば、できちゃうんですよね。
普段、外回りなのでIVH介助をする機会があれば、積極的にやればいいと思います。
そうすれば、REdoの時やMICSの時もあせらず介助できますから。
器械だしの心構えは外回りのときでも持てるというお話でした。