小児扁摘中のデイビス開口器によるチューブの圧迫

2021年7月7日 0 Comments

先日、小学生の男の子の扁桃腺摘出術の外回りをしました。

手術時間としては短い手術なのですが、

小児の扁摘というだけで正直、身の毛がよだつ思いです。

過去に経験した例としては、抜管直後に多量の分泌物をはきだし、

気道閉塞となり、一時CPAになったことがありました。

そのイメージがあるせいか、とても怖いという印象です。

そもそも、扁摘をしなければならないくらいですがもともと炎症があったりと、

呼吸の状態も決して良いとはいえない状態で来ることが多いです。

先日の症例も例にもれず、前日からすこしぐずぐずしている。

術前診察でも1週間前に腸炎かなにか熱がでたと。

入院時は熱もなかったので、予定通り手術。

小児なので、緩徐導入(スローインダクション)を行い、

ラインもすぐにとれて、挿管を行いました。

目視にしてしっかりと若い麻酔科医がチューブをいれたのですが、

すぐに胸はあがらず、陽圧を強くすることでようやくチューブが少し曇る感じでした。

胸もうっすらあがっていたので、気管に入っていることは違いないという印象でした。

しかし、かなりの気道内圧で(30cmオーバー)のため、もう一回入れなおしますと

麻酔科が宣言したのですが、

いやちょっとまてと。止めました。入っているものと思われるものを抜く必要はないし、

気道内圧があがっている原因がなにかを検索するのが大事かと。

なによりも一度抜いたチューブがまた同じようにいれれる保証はないわけで、

あせらず、蛇管を握ってみると、ブルブルと細かい振動をしている。

あぁ、これは痰かなにかが貯留しているのだと思い、後ろに控えていた麻酔科上級医に目配せすると、

すぐに変わってくれて、サクションを2回。

するとズルズルズルと分泌物はひけました。

その後はすぐに曇りもよくなり、胸もあがってしっかり換気量もえられて、安定しました。

手術まではこぎつけることができました。

しかし、それだけでは済みませんでした。

扁摘中になにやらまた呼吸が苦しくなってくる。具体的には1回換気量が正常の半分以下となり、

気道内圧もみるみるあがって、40cm近く。それにともなってEtCO2が70mmhgまで上昇。

これはちょっとまずいとなって、術者にお声がけ。

あと1分くらいで片側の扁桃腺がとれるとのことで、耐えることにしました。

結局とれたところで、サクションを1度行ったところ、劇的に改善しその後は事なきをえて

手術は終了しました。

結局は痰とかの分泌物で気管や気管支が閉塞しているということなのですが、

困るのがデイビス開口器をかけることでチューブが圧迫されて、サクションチューブが入らなくなることでした。

扁桃腺を観察するためにかけるので、チューブが押されてしまうわけです。

それによりサクションが入らない。

手術を中断するのはナンセンスかと思い、片側がおわるまで限界までは耐えるというのが、

今回の判断でよかった点かと思います。

やはり扁桃腺は怖いなぁという印象をのこして今回も終えてしまいました。

 

 

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