術後せん妄の誤った対処方法

2021年9月10日 0 Comments

毎日、毎日手術をやるのですが、

やはり超高齢化だなぁと実感する術後せん妄。

手術にくる患者さんがおじいさん、おばあさんで

70歳以上がほとんど。

せん妄ハイリスク因子としては

・70歳以上

・全身麻酔

これだけでもハイリスク群となるわけです。

よくよく思い出すと、ここ1ヶ月だけで術後せん妄に3回あったことに気付きました。

手術室にいて、よく見る光景になってしまったわけです。

病院としてもせん妄対策チームなるものが発足しており、

認知症ケアチームなどが中心となって、対策の標準化をすすめられているようですが、

手術室にあっては、各麻酔科医師の知見によって対処されており、

共通的なプロトコールを用いてやっていないと感じます。

特に私の働く手術室は出張の麻酔科医とにかく多いので、

対処方法もさまざまといった感じです。

今日も比較的手術時間の短い、ヘルニアの手術だったのですが、

難聴が強く、前立腺がんもあって、寝る前から「おしっこをしたい」というわけです。

それでもすでにプロポフォールを投薬されていて、ときすでに遅し、

尿道カテーテルを留置して対処することにしました。

手術が終わり覚醒すると、なにやらモゾモゾしだして、

どんどん不穏になっていきました。

とにかく「さわるな」「おしっこしたい」と連呼

しまいにはベッド上で置きあがろうとする状態でした。

声かけしても耳が遠くて届いてない。

そこで麻酔科は尿意や創痛がトリガーとなってせん妄を発症していると考え、

フェンタニルを静注しました。

ところが、まったく落ち着かない。いやむしろ悪くなっているような印象でした。

調べてみると

しっかりとオピオイドと。

痛みをとりのぞくは必要としても、せん妄になっているときに使うのは良くなかったかと。

麻酔科とともに反省しました。

その後、ミダゾラムを使用してすぐに沈静されました。

3mg程だったのですが、

ミダゾラムはほとんどといっていいほど舌根沈下するので、

経鼻エアウェイは必須かと思います。

では、何が一番正しい対処方法だったかというと、

せん妄対策のガイドラインには「セレネース」とありました。

これを生食20mlに希釈してワンショット投与。

ただ、これにはミダゾラムよりも効果発現が遅いので、

手術室のベッドなど狭い場所であばれられて10分とか待つのは正直大変です。

それくらい暴れているならばミダゾラム。

暴れるのがあるていど看護師によって抑止できるのならば、

セレネースかもしれません。

ケースバイケースでしょうが、術後の3日目や10日目にも発症リスクは潜んでいるので、

セレネースであれば、呼吸抑制も少ないので、病棟へリカバリーするのには適しているかもしれません。

ただし、循環動態には注意が必要なので、モニターは必須になるかと思います。

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